人生後半の生き方
2017年に出版された五木寛之氏の『孤独のすすめ』
人生はよく四季に例えられますが、単に春夏秋冬とするのではなく、「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」と表現されていたところ、味わい深く感じました。何歳からがどれという決まりはないけれど、自分でなんとなく分かりますよね。自分が人生で今どの季節にいるのかって。例えば、白秋にいるのに、青春にいるような生き方をしてもしんどいだけ。この四つの季節が巡る自然の摂理に身を任せることが要です。まさにこの本に書かれていた、シフトダウンして生きる、というのも取り入れたいと思いました。アンチエイジングではなく、ナチュラルエイジングってことです。身体の声も心の声もしっかり耳を澄まして聞いていきたいです。
老年期になると生きる力が萎えていく。生きていこうという気力さえ萎えてしまう。実際そう感じている老年期の方々を何人も見てきました。自分が老年期になって初めて分かる気持ちというのもあると思います。振り返れば、高校生の時に今の自分のこの年齢だからこその気持ちなど想像もできませんでしたから。同じことなのでしょう。
80歳を超えた五木氏がモットーにしているのが「低成長・高成熟」なのだそうです。言葉をそのまま引用すると、
世界の歴史を見ても、高度成長を終えて、低成長の時代に入った時に文明の成熟が現れる。そう考えると、高度成長から低成長に切り替わっていくことを悲観的に考える必要はなく、むしろこれからが面白いと発想を変えることができます。人生も、そういう観点で見ていけばいいわけです。
この本を読むと、老いをどう生きるか、楽しくもじっくり考えるきっかけをもらえます。桜の季節を待ちながら自分は人生のどの季節にいるのか、思い巡らすのもよいかもしれませんね。
