増える子どもたちの暴力行為

 文部科学省の調査で、2023年度に全国の小中学校と高校での暴力行為が計10万8987件(前年度比14.2%増)であったことが報道されていました。10万件を超えたのは初めてだということです。この調査は「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」といいい、国公私立学校や各教育委員会を対象に毎年実施されています。
 ここでいう暴力行為とは、学校内外で自校の児童生徒が故意に目に見える物理的な力を加える行為を指します。校種別でみると、小学校が最も多いようです。内容別では、生徒間暴力8万460件、器物損壊1万4072件、対教師暴力1万3043件、対人暴力1412件となっています。学年別では中学校1年生が一番多いということです。
 白梅学園大学の増田修治教授(臨床教育学)は、特に小学校での暴力行為が増えた理由について、コロナ禍の休校の影響で学習が不足し考えをうまく言葉で伝えられない子がいたり、近年の指導内容の増加で子どもの負担が増し、学習内容が十分定着していなかったりしているとして、影響があった可能性を指摘されています。先生の言われるように、自分の思っていることを言語化して伝えることができないとコミュニケーションにも歪みが出ますし、本人もイライラしますよね。
 考えてみれば、これは子どもだけの話ではないかもしれません。大人でも自分の気持ちを言語化するのが苦手な人はいますし、どうしても説明し難いことにぶつかることもあるでしょう。そんな時に暴力という手段ではなく、どのように自分と向き合い、相手と接するか考えることはどの年代の人にとっても大事な課題ではないかと思います。
 最近急に冷え込みが激しくなってきました。温かい美味しいものを食べて、飲んで、まずは身体からぽかぽかさせていきましょうか。自由な時間があれば何でもいいから好きなものに取り組むのもいいですね。